1/3ページ目 黒主学園ができる約6年前のこと。 まだ悠と樹里が生きているころのお話。 雪が降る夜、厚着をした悠と枢は真っ白な雪の上を歩いていた。 「ハアー…」 二人の吐いた息が真っ白になって夜空にふわふわと浮いた。 そして、玖蘭の少年が静かに空を見上る。 「悠…素敵ですね」 「ん…?雪のこと?」 悠も空を見上げる。そして、クスッと笑って言う。 「本当だ。綺麗だな。星が空から降ってくるようだ…」 「優姫にも見せてあげたいです…」 悠は寂しそうな枢の肩を握りしめて微笑んだ。 「いつか、見せてあげられる時が来るよ」 「いつか…ですか…」 「いつか僕は突然、消えてしまうだろう。その時は優姫を頼んだよ、枢」 「…わかってます」 枢の返事を聞いて、悠は嬉しそうにニコッと微笑んだ。 「さてと!そろそろ温かい我が家に帰ろうか!二人が待ってるよ♪」 「はい」 **** ガチャ.. 「ただいまー」 「ただいま帰りました」 2人が奥にある部屋の扉を開けると元気に女の子が枢に飛びついた。 「おかえりなさい!わあ…かなめおにいさま、つめたいわ」 「あ…ごめんね。雪、まだはらってなかったよ」 そう言って、枢はパンパンとズボンを手で叩いた。 「いま、はらったのは“ゆき”っていうの?」 首を傾げ微笑む優姫。つられて枢も微笑んだ。 「そうだよ。真っ白で冷たくてとても綺麗なんだ」 「わたしのなまえといっしょね」 ニコニコと天使のような笑顔で枢の顔を覗き込む。枢はその笑顔を見ると、ぼーっとそれを見つめた。 「おぉ、確かに。…優姫と雪、確かに似てるね」 顎に手を置いて間から悠が感心する。 「何の話をしてるのー?」 台所からお玉を持った樹里が出てきた。 「樹里!ただいま。なんだい?その服は…寒くないのかい?」 「これはチャイナ服っていうのよ!クローゼットをあさっていたら見つけたから着てみたの。ちょっとピチピチだけど…」 樹里は、一回転して悠に服を見せた。そして「どう?」と言って問う。 「樹里は何を着ても似合うね♪可愛いよ」 「もうっ、ありがとー」 悠はニコッと微笑むと、樹里は顔を真っ赤にして悠に抱きついた。そして悠も樹里を受けとめるように抱きしめる。 「おかあさま、かあいい」 「可愛いです」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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