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旅の続き
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建物の前まで来ると、扉がないことに気付いた。

「何かの遺跡か何かか?」

黒鋼さんが言う。

「一度一回りしてみよう。俺はモコナと右から回るから、黒鋼さんたちは左から回ってみよう。もしかしたら、何かあるかもしれない」

そう言って、俺とモコナは右から、黒鋼さんとファイさんは左から一回りした。しかし、扉のようなものはなかった。

「不思議だ。入り口どころか何も模様一つないなんて」

一回りしても、壁には入り口のような穴、文字や模様、絵、くぼみ等が一つもなかった。


「もしかしたらなんだけど…」

ファイさんが指で建物の天辺の尖った部分を指差して言った。

「天辺に何かあるんじゃないかな」

「確かに。見ていない所はそこだけだしな。見てみよう」

「でもどうやって?」

モコナが言った。

「そりゃあ、登るしかねーだろ」

そう言うと、黒鋼さんは建物をよじ登りはじめた。そして、あっという間に天辺にたどり着いた。


「黒鋼さん、どうだ?何かあったか?」

尋ねると、黒鋼さんは少し驚きながら言った。

「…なんかスイッチがあるぞ…」

「「スイッチ?」」

俺とファイさんの声が重なった。


「黒鋼、押しちゃえ〜!」

そして、モコナが面白げに言った。

「お…押すぞ。いいんだな?」


少し躊躇いながら黒鋼さんは問う。

「いいよ〜」

ファイさんがそう言うと、黒鋼さんはゆっくりとスイッチを押した。
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