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This night/CHEMISTRY
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アナタニ トッテ ワタシハ ドンナフウニ イレバ イイノ?



「零‥‥」

黒主学園内で偶々すれ違った彼に声をかける。

「お前か。どうした、久しぶりの学園で迷子にでもなったか」

片手には銃。無愛想に言う彼の顔は吸血鬼を狩りたい、という欲望を丸出しにしていた。

でも、別に恐くない。

「零‥‥血液錠剤だけじゃもの足りないよね」

「は?」

私は彼の腕を引き、今は使われていない月の寮に押しこむ。

「おい!お前何して‥‥」

零は血薔薇の銃を私の額に向けた。

「零‥‥飲んで」

私は制服のブレザーを脱いで、ワイシャツを第三まで開け、近くにあったフォークで首筋を傷付けた。傷口からは淫らに零れる真っ赤な血が――。

「‥‥‥‥」

零は一瞬目を丸くしたが欲に負け、勢いよく首筋に食らいついた。

覚悟はしてきた。零のために逃げ続けるって。でも…零にそんな顔で見られると…


「‥‥っ」

否定も何にも出来なくて…

ズッ

「ハアっ‥‥」

最も犯してはいけないことを…彼を使ってしてしまう。


枢に嫌われると分かっていても…身体が零に血をあげたいと言っている。

あ‥‥。

「‥‥もう‥嫌われてるのかもしれないね‥‥」

枢はもう、お兄様だった頃の彼じゃない。ずっと昔の人なんだから…。


「お前、何しに来たんだよ‥」

手で口元を拭いながら、怒った顔で睨まられる。

別に零が恐いからじゃないけど、涙腺がもろくなって来て、

「‥ズッ‥ふっ‥」

思わず零の胸に飛び込んで泣いてしまった。


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