1/2ページ目 アナタニ トッテ ワタシハ ドンナフウニ イレバ イイノ? 「零‥‥」 黒主学園内で偶々すれ違った彼に声をかける。 「お前か。どうした、久しぶりの学園で迷子にでもなったか」 片手には銃。無愛想に言う彼の顔は吸血鬼を狩りたい、という欲望を丸出しにしていた。 でも、別に恐くない。 「零‥‥血液錠剤だけじゃもの足りないよね」 「は?」 私は彼の腕を引き、今は使われていない月の寮に押しこむ。 「おい!お前何して‥‥」 零は血薔薇の銃を私の額に向けた。 「零‥‥飲んで」 私は制服のブレザーを脱いで、ワイシャツを第三まで開け、近くにあったフォークで首筋を傷付けた。傷口からは淫らに零れる真っ赤な血が――。 「‥‥‥‥」 零は一瞬目を丸くしたが欲に負け、勢いよく首筋に食らいついた。 覚悟はしてきた。零のために逃げ続けるって。でも…零にそんな顔で見られると… 「‥‥っ」 否定も何にも出来なくて… ズッ 「ハアっ‥‥」 最も犯してはいけないことを…彼を使ってしてしまう。 枢に嫌われると分かっていても…身体が零に血をあげたいと言っている。 あ‥‥。 「‥‥もう‥嫌われてるのかもしれないね‥‥」 枢はもう、お兄様だった頃の彼じゃない。ずっと昔の人なんだから…。 「お前、何しに来たんだよ‥」 手で口元を拭いながら、怒った顔で睨まられる。 別に零が恐いからじゃないけど、涙腺がもろくなって来て、 「‥ズッ‥ふっ‥」 思わず零の胸に飛び込んで泣いてしまった。 [編集] |