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笑って
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「おい、大丈夫か?」

トイレの扉を開けたまま、優姫が洋式便器に顔を伏せていた

「‥‥ぜっ‥零」

つらそうに零の名前を呼ぶと、優姫は素早く口を手で押さえた

その行動でピンときた零は優姫に聞いてみる

「お前、まさか‥‥二日酔いか?」


「うぷっ‥‥‥そぅ‥‥」

実は昨日、成人を迎えた零と優姫に理事長が無理矢理、酒を進めて、2人に嫌々酒を飲まさせたのだ
零は酒は強い方だったが、優姫は極度に弱い体質だったらしく、すぐに酔っ払った
そのせいで、優姫は呆気なく二日酔いをしてしまったのだ

「お前、大丈夫か?何か飲み物いるか?」

零がつらそうな背中をさすりながら言うと、優姫は

「なら、血が飲みたぃ‥‥」

と言った

こいつ、まだ酔ってる‥‥、そう確信して、俺は優姫を抱えた

「下ろしてぇぇ!吐くぅぅ!」

すると、優姫はバタバタと足で零の体を蹴りつけた

「うるさい!二日酔いなら、おとなしく寝てろ」

「‥‥‥」

静かになって、不思議に思った零は優姫の様子をうかがうと、寝てしまっていた


「言った側からかよ‥‥」


ずれ落ちそうな優姫の体をひょいと抱き上げて、零は理事長室のソファーにそっと寝かせた

「少しは寝てろ」

そして、零は部屋を出て行った


「んっ‥」


零が部屋を出てからしばらくして、優姫は目を覚ました


「‥‥理事長の部屋?そうだ‥‥私、二日酔いで‥‥」


重い体を起こして、優姫はある所へ向かった



───

「やっぱり、ここにいた」

「‥‥お前、大丈夫なのか?」


優姫が向かったのは馬小屋だった
そこにはいつものように零がリリィの下で寝転んでいた


「大丈夫だよ!零が寝てろ、って言ってくれたおかげで」

優姫はニコッと微笑んで、零の隣に座った


「そうか‥‥」

「ありがとう‥‥」

そう言って、優姫は零の肩に寄りかかった

「ぅん」


今夜も、お前は
変わらぬまま
隣で笑っていてくれる

俺が苛立ってる時も
おびえずに、傍にいてくれる


「もう少し、こっちに来て」

「うん」

お前のいるだけで、
俺は強くなれるんだ


2011/5/10
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