1/1ページ目 「おい、大丈夫か?」 トイレの扉を開けたまま、優姫が洋式便器に顔を伏せていた 「‥‥ぜっ‥零」 つらそうに零の名前を呼ぶと、優姫は素早く口を手で押さえた その行動でピンときた零は優姫に聞いてみる 「お前、まさか‥‥二日酔いか?」 「うぷっ‥‥‥そぅ‥‥」 実は昨日、成人を迎えた零と優姫に理事長が無理矢理、酒を進めて、2人に嫌々酒を飲まさせたのだ 零は酒は強い方だったが、優姫は極度に弱い体質だったらしく、すぐに酔っ払った そのせいで、優姫は呆気なく二日酔いをしてしまったのだ 「お前、大丈夫か?何か飲み物いるか?」 零がつらそうな背中をさすりながら言うと、優姫は 「なら、血が飲みたぃ‥‥」 と言った こいつ、まだ酔ってる‥‥、そう確信して、俺は優姫を抱えた 「下ろしてぇぇ!吐くぅぅ!」 すると、優姫はバタバタと足で零の体を蹴りつけた 「うるさい!二日酔いなら、おとなしく寝てろ」 「‥‥‥」 静かになって、不思議に思った零は優姫の様子をうかがうと、寝てしまっていた 「言った側からかよ‥‥」 ずれ落ちそうな優姫の体をひょいと抱き上げて、零は理事長室のソファーにそっと寝かせた 「少しは寝てろ」 そして、零は部屋を出て行った 「んっ‥」 零が部屋を出てからしばらくして、優姫は目を覚ました 「‥‥理事長の部屋?そうだ‥‥私、二日酔いで‥‥」 重い体を起こして、優姫はある所へ向かった ─── 「やっぱり、ここにいた」 「‥‥お前、大丈夫なのか?」 優姫が向かったのは馬小屋だった そこにはいつものように零がリリィの下で寝転んでいた 「大丈夫だよ!零が寝てろ、って言ってくれたおかげで」 優姫はニコッと微笑んで、零の隣に座った 「そうか‥‥」 「ありがとう‥‥」 そう言って、優姫は零の肩に寄りかかった 「ぅん」 今夜も、お前は 変わらぬまま 隣で笑っていてくれる 俺が苛立ってる時も おびえずに、傍にいてくれる 「もう少し、こっちに来て」 「うん」 お前のいるだけで、 俺は強くなれるんだ 2011/5/10 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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