3/4ページ目 「そいつは目を覚ますのか?」 そう聞くと、優姫は横に首を振った。 「怖くなったシャリオは急いで屋敷を出た。 でも、門は閉まっていた。 すると、暗闇から声がする。 “もうすぐ、吸血鬼たちが目を覚ます。夜になるまでに逃げろ” シャリオはすぐにエドガーの声だとわかった。 “エドガーも吸血鬼?”シャリオはおびえながら聞くとエドガーは頷いてシャリオの足元に向かって鍵を投げた。“門の鍵だ” シャリオはエドガーの優しさに涙した。そして聞く。“なんで助けてくれるの?” エドガーは言った。“僕は君に行為を抱いている”“私もよ、だから一緒に屋敷を出ましょう”シャリオは言った。 けど、エドガーは言った。“僕は陽の光をあびられない” シャリオは泣きながら門を出て、エドガーの言うとおりに逃げ続けた。 でも夜までには間に合わなくて結局、吸血鬼に見つかってしまった。 それを知ったエドガーは最後の手段に…」 「あれー?風紀委員、まだ見回りなの?」 優姫の話の途中、藍堂英が現れた。 「…藍堂センパイ!授業はどうしたんですか?」 「んー、そんなのとっくに終わったよ」 「お前の話で長引いたんだよ」 俺は不機嫌に言った。 「零…怒ってる?」 「別に」 「もう真夜中だよ。早くお帰り」 「枢…センパイ」 優姫は顔を染めた。 「優姫、戻るぞ」 俺は優姫の手をひいて、スタスタと歩き出した。 「嫉妬も深すぎると…うざいよ」 玖蘭の声が聞こえたが、俺の耳には入ってこなかった。 ―――…理事長の部屋まで来ると、優姫は息を切らしながら言った。 「どうしたの?零…」 「…さっきの話の続きを教えてくれ」 「…うん。 エドガーはシャリオを救う最後の手段に…シャリオの十字架のネックレスを取って、シャリオを逃がし、自分が盾となったの。 吸血鬼は十字架の力を受けると死んでしまうから、エドガーは死んでしまった。 …っていう話。ドラキュラっていう本は」 「そうか…。それで、俺に話そうと思った理由は?」 すると、優姫は今にも泣き出しそうな顔で俺に抱きついた。 「優…」 「零は私の盾にならないで良いから…。自分の身は自分で守れるよ」 グスンという音が聞こえた。 「泣くな」 「ふ…っ」 俺は優姫の頭をさすった。 大粒の涙を流した優姫は、何も話さなかった。 本を読んでいる優姫よりも面白くは感じないけど、いつもより愛おしく感じた。 優姫は強い。 俺よりも遥かに…。 あの日は、本当に優姫の強さを改めて思い知らされた一日だった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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