作品集【小説】

誕生日は…【【一歩前進】の続きです。 【無幻童】
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暖かい気持ちで。

寒い朝。


恥ずかし過ぎて、彼とはまともに目を合わせていない。

あれから、1ヶ月。

珍しく、長期間イギリスに滞在している彼の塒は自分の家。

ベッドが小さいと買い換えたのは少し前。

何故か同じベッドで就寝している。

何故…?…

恋人だから…?

彼と過ごす毎日が新鮮。





11月某日。
雪がチラチラと降り始める夜明けの寒い朝。
いつもどうりの時間に起きてしまった。
休みになった今日を、どう過ごそうかベッドの上で考えていた。
そんな時。

訝しそうな声が隣から聞こえてくる。
「…おい…今日は休みじゃねーのか?…起きもしねぇのに、んな早くにもぞもぞすんな…それとも、誘ってんのか?…」

「っば!?…か……違いますよ…」
男の台詞に驚き、カイが体を丸くする。
後頭部しか見えないが、耳を見れば直ぐに解る。

「赤い…」
何を言われようとベッドから逃げ出さない、その体に。
彼の耳を、撫でるように触る。

「ゃっ…#%$@っソルの馬鹿!!」
勢い良くベッドから飛び出していく。
今度は逃げられてしまった。

「あ…」

やりすぎたか…

ちょっと後悔しつつ、先程までカイのいた場所へと腕を伸ばす。

「…あったけ……」

口の端を少しつり上げ微笑むと、暖かいその場所で男はまた深い眠りに入っていった。




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