1/1ページ目 華やかな音楽が遠くから聞こえている。 自分は… 「で、お嬢ちゃん。年はいくつよ?駄目だよー?お祭会場だからって1人でいたら危ないでしょう?」 保護者の方が来るまでお巡りさんと一緒に待っててねー …補導。 「はぁ…」 補導というより、保護? 別にどっちでもいい。 唯、自分は引ったくり犯を捕まえただけなのだが… 非番ではあるが。 「申し訳ないのですが、自分、未成年でもなければお嬢ちゃんでもないです…それに、あなたたちと同じ職業なんですがぁ…」 それを言うや否や、 「…?…っははは!!お嬢ちゃん、婦警になりたいのかい!?じゃあ将来有望だ!!」 なんて、からかわれるのだ。 「…です、よねぇ…」 本来、警察機構の団長である人間が、ましてや男がこんな格好をしているわけがない。 身分証など…見せれるはずがなく。 自分の体を鏡に映し、項垂れる。 しょうがないかもしれない。 『お嬢ちゃん』 は百歩譲ってよしとしよう。 格好が格好だから。 上から ・帽子(ウサ耳:白) ・ロングコート(ウサギ尻尾付き:白) ・ロングプリーツスカート(淡い水色) ・ロングブーツ(白) 自分で着た訳じゃない。 当たり前だ。 これは、彼からの贈り物。 「お!迎えがきたよー」 制服姿の警官が赤い男を連れてくる。 「おー…悪ぃな、嬢ちゃん(笑)」 「#@*/$%!!ソルの馬鹿!!」 持っていた手袋を投げつける。 「うお?!」 「お、落ち着いてっ」 警察官が宥めようとするが無駄だった。 「あっあなたのせいですよ?!私はっ!!!っ…むぅ〜!!」 喚き散らしているカイの口を抑え、ソルは警察官達に謝罪する。 「すまねぇな…ヒステリックなんだわ」 言って笑うとカイが暴れ出す。 「あ、お構いなく」 外見とは違い、温厚な男に警官はホッとする。 「あ、それでですね、保護者の方と其方のお嬢さんの年齢とご関係を…」 警官の言い方に眉を寄せる。 「年齢?こいつの?二十歳だが?」 「え!?あ!!そうでしたかっ!!これは失礼しましたっ」 少し焦った様子で書類を書く警官を見てソルが直感した。 「お前…未成年だと思われてたのか?」 ニヤリと笑う。 「っ…どーせ童顔ですよ!!」 痴話喧嘩が起きる前に、と警官はソルに年齢を聞く。 「俺の年か…」 バリバリと頭を掻きながら年齢を直ぐに言おうとしない男にも警官は優しい。 「あぁ、あまり答えたくない場合は大体の年齢でも構いませんよ?」 「そうか?…ひゃくっ…ん」 「に、25歳ですっ」 本当の年齢を口にしようとしたソルの口をすぐさま抑えた。 「25歳…と、それでですね、一応お二人の関係も…記入事項になってますので」 「…っぅ」 カイが赤面する。 「恋人だ」 「恋人…と」 警官が書き終えた時だ。 「ち、違いますっ!!」 「え?違うのかい?」 どう見ても、隣同士で椅子に座りカイの腰に腕を回す男は彼氏だ。 「ち、がわないかもしれないですがっ!違いますっ」 「じゃあ…夫婦でいいかい?」 「お」 ソルは満更でもなさそうだ。 「も、もっと違いますぅっ!!」 焦るカイにペンをクルクル回す警官が笑いながら答える。 「何て書きたいの?」 … …… 少しの沈黙の後、力強くカイが断言する。 「ライバルで!!…好敵手と書いてライバルでお願いします!!」 言い切ったカイに溜め息をつくのはソル。 「はぁ…これだから゙嬢ちゃん゙は…」 「何ですか…駄目ですか!」 明らかにいじけるカイにソルは… 『…っちゅ…』 「っちょ!?…ん」 唇を塞がれたカイが慌ててソルの胸板を押し返す。がビクともしない。 「ありゃりゃっ!?」 警官が驚きの声を上げるが、ソルはお構いなしだ。 ぐったりと力無くなるまで口付けされたカイを心配そうに見つめる警官はまるで父親だ。 「大丈夫かな?書類…とりあえず、埋めとくね」 そう言った警官にソルはカイを抱き上げその場を立ち去る前に言った。 「恋人で宜しく…」 それ以外は何を書かれても認めはしないだろう、男の口調は力強い。 去って行く男の背中を眺めて、思わず口に出てしまう感情。 「25歳には…見えないなぁ…」 外見的なものではない。 これは自分の直感。 「年の差カップルか…」 ぼそりと独り言を呟いた後、消しゴムを手にとり男の年齢欄を綺麗に消した。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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