2/3ページ目 【-The sweet afternoon-】第2章 今日は休日。街中の恋人達は手を繋ぎ、腕を組み、この晴天の中を楽しく会話しながら歩いている事だろう。 そんな事を考えてしまうのは私の隣にいるこの男のせいだろう。 きっと。 いや、仮にも恋人と言えども男2人で並んで街を歩いている事事態おかしいのかもしれない。 「…」 「……」 周りの騒々しさが自分達の沈黙を更に促しているようなきがする。 『出掛けよう』と言ったのは私。 丁度一年だ。彼が私とこの街で暮らしてから。 こんなに長い間同じ場所に滞在するのは彼にとってかなり珍しい。五年近く一緒に居て、今まで一度もなかった… 歩いている間中、こんな事を考えていると、… 「…っわ!?」 足元には十分に気をつけていたつもりだったが、石段に躓いて転倒しそうになる。 「おい…バカ…っとに……」 転びそうになった体を男はぶつぶつと嘆声を漏らしながらも地面に膝が着く前に助けてくれる。 「あ…りがとうございます…っ!」 膝に擦り傷を作らなくて助かり、助けてくれた彼に礼をする…が、抱き寄せられている事に羞恥心が込み上げ頬が赤く染まるのが自分でも解る。 男が男を抱き寄せている事に周囲の目が急に気になり始めキョロキョロとあたりを見回す。 が、誰も自分達など見てはいなかった事に安堵する。と同時に期待した。 『誰も見ていない。誰も気付いていないなら』 と。 自分を支えていた手が離れようとしたその手を、自分の体の影でそっと捕まえてみる。 「…あ゙?」 不思議そうな、不機嫌な声が聞こえたが、それに構うことなく彼の手をしっかりと握る。 「…少しだけならいいだろ…」 どうせ自分は… 「野郎には見られねぇからか?」 彼の言葉に図星を指され眉間に皺を寄せる。こんな奴の手を握るのではなかったと。振り払おうとした時だ。 彼の手が自分の手を強く握り、振り払った筈の手は離れなかった。 イライラして眉間に皺を作る自分を見て彼はニヤニヤしている。 それ所か、その眉間に対し 「んな皺寄せんなよ…可愛い顔が台無しだぜ…」 なんて茶化してきたのだった。 「っバカ者!!この皺はお前がっ…もういい…」 お前のせいだと言ったが最後、またからかわれるのがオチである。 悔しい。 手は繋いだままにしておく。 今日は休日。 街中の恋人達は手を繋ぎ、腕を組み、楽しく会話をしながら歩いているのだろうか。 こんな事を考え暇はない。 「…」 「…」 こんな沈黙も悪くない。 手を繋ぎ寄り添い、街を歩いている。 こんな休日も悪くない。 午後三時。こんな幸せな午後はない。 The sweet afternoon… [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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